こんな方におすすめ
- 演奏中にうまくブレスが取れない
- ブレスをしても息が続かない
- もっとラクにブレスを取りたい
- 呼吸の仕組みを知りたい
こんなお悩みをお持ちのあなたに向けてこの記事を書きました。
この記事では、呼吸の仕組みについて、簡単な解剖学的な知識を混ぜながらお話ししています。
ぜひ最後まで読んでいただけるとうれしいです。
はじめに
管楽器や歌をされる方に限らず、楽器を演奏される方にとって「呼吸」はとても大切ですよね。
特に管楽器や歌は、自分の息が音になり、音楽を表現します。
僕自身フルートを演奏していて、
「息が続かない、、、」
「息がうまく吸えない、、、」
「息が吐きにくい、、、」
といったことにたくさん悩まされてきました。
これらの悩みに役立ったのが2つあります。
「呼吸の仕組み」を知ること
「自分の身体で何が起きているか」を知ること
この2つです。
効率的に身体を使って演奏するために、簡単な解剖学的な知識はものすごく役立ちます。
ですが、この知識を役立たせるために必要なのが、「自分の身体で起きていることを知ること」も大切です。
「ブレスを取るときにどんなクセがあるのか」、ということです。
これから何回かに分けて、「呼吸の仕組み」と「身体の動きを観察する遊び」を紹介します。
第1回は「肺」と「肋骨」の動きについてお話しします!
息の入る場所
管楽器をやっている人あるあるですが、よく「お腹に息を入れるように息を吸う」なんて言葉を聞きますよね。
実はこれ大きな勘違いなんです。
解剖学的には息は「肺」に入ります。残念ながらお腹には息は入りません。
ちょっとした誤解が演奏のやりにくさ、体の不自由さ、緊張につながっている可能性があります。
肺の位置と大きさ
さて、息が入る「肺」がどこにあるのか、どれぐらいの大きさかを一緒に確認してみましょう。
下の画像をご覧ください。
正面からだけだと平面的に体を認識してしまうので、体の立体感をイメージしてもらうために3つの面から見ていただきました。
こうやって見てみると、「肺」って大きいですよね。
カゴみたいな肋骨の中に守られているように入っているのも印象的です。
次に、呼吸をしているときに「肺はどんな動きをするのか」、お話しします。
肺の動き
ここでは、呼吸をしているときに、肺がどのような動きをするのかをお話しします。
肺の動き
- 息を吸うとき、肺はふくらみます。
- 息を吐くとき、肺はふくらんだ分もとに戻ります。
これが肺の動きです。めちゃくちゃシンプルですよね。
この動きは肺自身がが起こしているわけではありません。
実は、肋骨と横隔膜が大きく関係しています。
肋骨が動き横隔膜が下がります。すると、胸郭が広がり、胸郭内(きょうくうない)の気圧が変化し、肺がふくらみ、肺に息が入ってきます。
呼吸には、肋骨と横隔膜の動きがとても大切です。
肋骨の動きのはじまり
次に、肋骨の動きについてお話をしていきます。
肋骨などの「骨」を動かすには、「関節」と「筋肉」が必要です。
「関節」は2つの骨がつながっている部分のことを言います。
肋骨の関節は背中側にあって、椎骨と呼ばれる骨の突起と関節を形成しています。
肋骨の動きはじめは、関節のある「背中側から動く」と思ってみるといいと思います。
肋骨の上部と下部
実は、肋骨の上部と下部で動きの方向が違います。
まず上部と下部の場所を一緒に確認しましょう。下の画像をご覧ください。
こうやって見てみると、第1〜10肋骨はカゴみたいな形をしていますね。
第1〜10肋骨のカゴのようになっているところを胸郭(きょうかく)と呼びます。
次に上部と下部の肋骨でどのように動きの方向が違うのかを解説します。
第1〜4肋骨の動き
第1〜4肋骨がどのように動くのかを下の画像でご覧ください。
肋骨の上部は、
「息を吸うとき」、前上方向に動き
「息を吐くとき」、後下方向に動きます。
肋骨の動きを観察してみよう
観察してみよう
自分の胸に手を置いて、呼吸を繰り返してましょう。
- 息を吸ったとき、吐いたときにどんな動きが起きているのかを観察しましょう。
いかがでしたか?
呼吸を繰り返しているときに、肋骨の動きを感じることができたら大成功です!
余談ですが、「肩が上がらないように息を吸う」と聞いたことありませんか??
これも管楽器あるあるですね。
「肩が上がらないように、、、」というのは第1〜4肋骨の動きを制限してしまう可能性があります。
つまり、息が吸いにくい状態を自分自身で作り出してしまっているかもしれません。
もし「肩が上がらないように、、、」と思いながらブレスを取っている方は、「肩が上がってもいい!」と思いながらブレスを取ってみてください。
どっちの方がブレスがしやすいかを実験してみてください。
第5〜10肋骨の動き
さて、次は第5〜10肋骨の動きについてお話しします。
こちらも画像を用意しましたのでご覧ください。
第5〜10肋骨の動きは「バケツの取っ手を上下に動かす動き」に似ています。
肋骨の動きを観察してみよう
観察してみよう
- 両手、もしくは片手を横腹よりも上あたりに当てながら、呼吸を繰り返しましょう
- どんな動きが起きているのかを観察しましょう。
いかがでしたか?
息を吸ったときに、横に手を押すような動きがあったら大成功です!
第5〜10肋骨の動きは、「お腹に息を入れる」というのに少し似たような動きに感じるかもしれません。
「お腹に息を入れようと思いながら息を吸う」のと、「肋骨の下あたりが動くと思いながら息を吸う」を試してみてください。
どっちの方が息が吸いやすいかを実験してみてください。
肋骨を動かす筋肉
さて、これまで肋骨の動きについてお話をしてきました。
次は、肋骨を動かすサポートをしてくれる筋肉についてお話しします。
肋骨を動かすサポートをしてくれる筋肉に、外肋間筋(がいろっかんきん)と内肋間筋(ないろっかんきん)などがあります。
それぞれ肋骨を動かすサポートをするのですが、少しだけ仕事内容が違います。
外肋間筋
外肋間筋は、「息を吸うとき」に動く筋肉で、肋骨を広げるサポートをします。
内肋間筋
次は内肋間筋についてお話しします。
内肋間筋は外肋間筋よりも体の内側についている筋肉です。
内肋間筋は、「息を吐くとき」に働く筋肉で、広げった肋骨をもとの位置に戻すサポートをします。
まとめ
肺
- 息はお腹に入らない。
- 息が入るのは「肺」
- 肺は、息を吸うとふくらむ。
- 肺は、息を吐くとしぼむ。
- 肺自身には、ふくらんだり、しぼんだりする機能はない。
肋骨の動き
- 肋骨は背中側の関節から動きはじめる。
- 上部と下部で動きの方向が違う。
- 肋骨と横隔膜が動くことで、肺がふくらむためのスペースが生まれる。
肋間筋
- 外肋間筋は、息を吸うときに動き、肋骨を広げるサポートをする
- 内肋間筋は、息を吐くときに動き、広がった肋骨をもとに戻すサポートをする
呼吸の仕組み①でした。
次回は「横隔膜」についてお話しします。
レッスンでは、実際に演奏しているところなどを見させていただきながら、その人に合った身体の使い方などを提案させていただきます。
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