楽器を吹く以外にも、音楽と向き合える時間があります。
僕は、コーヒーを飲みながら、いま取り組んでいる作品の楽譜をのんびり眺める時間が意外と好きなんです。
家で読むこともありますし、気分を変えたくなったら、楽譜を持ってカフェへ行くこともあります。
楽器は持たず、コーヒーと楽譜だけ。
音を出していないので、一見すると練習には見えないかもしれません。
でも、こういう時間に見つかるものも、結構あるんですよね。
音を出さない時間も、練習なのかもしれない
楽譜を眺めながら、作品や作曲家について調べてみます。
この作品は、作曲家が何歳のときに書いたのだろう。
どんな出来事がきっかけになったのだろう。
誰から影響を受けていたのだろう。
同じ時期に書かれた作品には、似たところがあるのだろうか。
それより前の作品と、それ以降の作品では、音楽にどんな変化があるのだろう。
違う楽器のために書かれた作品は、どんな響きがするのだろう。
そんなことを考え始めると、興味はなかなか尽きません。
もちろん、調べたことのすべてが、そのまま演奏の答えになるわけではありません。
正解を探し当てたいというよりも、作品に対する問いが少しずつ増えていく。
僕は、そのことが大切なのではないかと思っています。
問いを持って、もう一度楽譜を見る。
すると、昨日までは気づかなかった音や動きが、少し違って見えることがあります。
いろいろな演奏を聴ける、ありがたい時代
いまは、インターネットで作曲家や作品について気軽に調べられます。
YouTubeや音楽配信サービスを使えば、同じ作品でも、いろいろな人の演奏を聴くことができます。
テンポも違えば、音色も違う。
フレーズの感じ方や、音楽の進め方も違います。
「同じ楽譜なのに、こんなにも違うんだ」
そんな発見ができるのは、とてもありがたいことですよね。
ただ、誰かの演奏をそのまま正解にする必要はないと思うんです。
いろいろな演奏を聴きながら、
「自分には、どんなふうに聴こえたのだろう」
「自分は、どんな音楽にしたいのだろう」
と考えてみる。
それも、作品と向き合う時間のひとつです。

パート譜の外側でも、音楽は動いている
作品や作曲家について知ることも大切ですが、それと同じくらい、楽譜そのものを読むことも大切です。
特に、アンサンブルや室内楽、吹奏楽、オーケストラに取り組んでいる方には、スコアを読む時間を作ってみてほしいと思っています。
フルートとピアノの作品なら、フルートのパート譜だけでなく、ピアノが何をしているのかも見てみます。
音楽を分かりやすく、ざっくり分けると、
- メロディ
- リズム
- ベースライン
- ハーモニー
- 裏側で動くもうひとつの旋律
などがあります。
では、いま自分が吹いている音は、その中でどんな役割を担っているのでしょう。
メロディでしょうか。
誰かを支えるハーモニーでしょうか。
リズムを作っているのでしょうか。
自分と同じ動きをしているパートはあるでしょうか。
自分が休んでいるとき、ほかのパートでは何が起きているでしょうか。
楽譜を見ながら、そんなことを少し考えてみます。
全部を分析できなくても大丈夫です。
ひとつ気づくだけでも、実際に音を出したときの聴こえ方が変わることがあります。
「合奏で聴けばいい」だけでは、難しいこともある
「ほかのパートのことは、合奏のときに聴けばいいのでは?」
そう思う方もいるかもしれません。
もちろん、実際に音を合わせてみなければ分からないことも、たくさんあります。
ただ、自分の演奏にいっぱいいっぱいになっていると、周りの音を聴く余裕は、なかなか生まれません。
音を間違えないようにする。
指を動かす。
息を続ける。
楽譜についていく。
それだけで精一杯になってしまうこともありますよね。
だからこそ、演奏する前に、
「ここでは、あの楽器と同じ動きをしている」
「この音は、メロディを支える役割かもしれない」
「この部分で、ピアノからフルートへ音楽が受け渡されている」
と知っておく。
それだけでも、合奏中に周りの音を見つけやすくなります。
楽譜を読むことは、合奏中のアンテナやセンサーを、少し高感度にしておくための準備なのかもしれません。
限られた合わせの時間を、より豊かな時間にするための準備でもあります。
まずは、コーヒー1杯分の時間から
スコアを読むと聞くと、難しい分析をしなければいけないように感じるかもしれません。
でも、最初からすべてを理解しなくても大丈夫です。
まずは、コーヒー1杯分くらいの時間で、
「自分以外のパートは、何をしているのだろう」
「自分はいま、どんな役割なのだろう」
と楽譜を眺めてみてください。
答えが見つからなくても構いません。
ひとつ疑問が生まれたら、それだけでも十分です。
その疑問を持って楽器を吹いてみると、いつもの楽譜から、今までとは違うものが聴こえてくるかもしれません。
レッスンでも、一緒に楽譜の中を歩いてみる
げんきフルート教室では、音や指づかいを直すことだけをレッスンだとは考えていません。
「この部分は、どんなふうに聴こえますか?」
「ほかのパートでは、何が起きていますか?」
「どんな演奏にしてみたいですか?」
そんな問いを一緒に持ちながら、楽譜を眺め、実際に音を出して考えていきます。
先生がすぐに答えを渡すのではなく、生徒さんが感じたことや気づいたことを大切にしながら、一緒に音楽を探していく。
そういう時間を、僕は大切にしています。

体験レッスンのご案内
「音符を追うだけで精一杯になってしまう」
「アンサンブルで、周りを聴く余裕がない」
「楽譜をどう読めばいいのか分からない」
そんな状態でも大丈夫です。
体験レッスンでは、いま取り組んでいる曲や困っていることを伺いながら、楽譜と音の両方から一緒に考えていきます。
うまく説明できなくても、まだ答えが見つかっていなくても構いません。
その人なりの問いを見つけるところから、始めてみませんか。


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